【感想】説得とヤル気の科学 ー最新心理学研究が解き明かす「その気」にさせるメカニズム
正月休みに読んだ『説得とヤル気の科学 ー最新心理学研究が解き明かす「その気」にさせるメカニズム』がオススメできる一冊だったので、簡単に紹介します。
概要
本書は「人をヤル気にさせる要因」、つまり「他人に頼み事をする際に、どうやったら自分の思い通りに動いてくれるか」という観点から、心理学の研究結果を端的に紹介する本です。
紹介されている内容は認知心理学が中心で、脳のつくりのような予備知識がなくても読み進めることができます。この点でもおすすめです。
「人をヤル気にさせる要因」として、合計140の手法(ストラテジー)を、次の7つに仕分けて紹介しています。
・帰属意識
・習慣
・物語の力
・アメとムチ
・本能
・熟達願望
・心の錯覚
最後にはケーススタディとして、これらのストラテジーをいかにビジネスや人間関係の中に忍ばせるかを、具体的な事例を通して紹介しています。
本書の魅力
心理学の研究成果を実用面から紹介する類書は多々ありますが、網羅性の高さとわかりやすさが本書の魅力です。
万人にありがちな心理メカニズムという知識を仕入れることで、実際の対人関係を有利に進めるヒントとなるのは勿論ですが、それ以上に重要なのが、自分の心理状態を俯瞰・客観視できるようになることだと思います。
私だけかもしれませんが、日々の仕事の中でも、あとあと考えてみるとものすごく不合理なことを平然とやってしまうことが、よくあります。
こういった事例を反省してみると、本書に出てくるような心理メカニズムに沿った、万人にありがちな行動だったりするわけです。
自覚を経れば、次に同じような状況に置かれた時には、心理メカニズムに抗い、合理的な行動がとれるかもしれません。
心理メカニズムを知るための最初の一冊として、網羅性とわかりやすさ(=メカニズムが機能している瞬間が豊富な事例で紹介されており、自分の経験の中から同種の事例を拾いやすい)の観点から、本書はオススメです。