長狭物

社畜による情けない日々

ソーラーパネル工事が原因で大海川(石川県かほく市、津幡町、宝達志水町)濁水が発生?

現居住地の近所が地方紙を賑わせています。

(ネットニュースになっていないので書き起こし)

大海川 アユ激減の恐れ
源流近くで太陽光発電開発
土砂流入、水濁る

津幡町かほく市を流れ、アユ釣りの名所として知られる大海川(おおみがわ)や上流の木窪川(きのくぼがわ)で水の濁りが続き、漁業権を持つ大海川漁協(同市)が「アユが激減する恐れがある」と危機感を募らせている。石川県によると、宝達山系の山中で昨年春から行われる日本海側最大規模の太陽光発電所(メガソーラー)の開発力土砂が流入しているとみられる。今秋の産卵、ふ化期も濁りが生じ、アユ釣りファンからは「来春に稚魚がほとんど遡上しないかもしれない」との声も出ている。

窪川は、宝達志水町発電所造成地付近が源流で、津幡町河内谷地区で瓜生川と合流し、大海川となる。大海川漁協によると、発電所造成が始まった昨年5月以降、大雨後に川の濁りが長引き、アユ釣りや漁業に影響が出ている、水が濁ると漁網でアユを捕まえることが難しく、約160人の組合員の中には、漁を諦めた人もいた。

11月上旬からは発電所造成地の調整池で堆積土砂を搬出する作業の影響で川の濁りが続き、竹多正幸組合長(66)は「川底の石が泥に覆われていると卵が付着できず海に流される。稚魚が成長できない恐れがある」と懸念する。

県中能登農林総合事務所(七尾市)は昨年夏に、発電所造成地から濁水が流れ込んで着ることを確認し、施工者に防止策を求めた。しかし、その後も川の濁りが頻発し、今夏にも一層の濁水防止を要請した。

一方、発電所の施工者であるJXエンジニアリング(横浜市)によると、着工時から土砂を沈下させる調整池を設けるなど濁水防止措置を講じてきた。ただ、約160万平方メートルに及ぶ造成地から土砂流出を止めることは難しく、濁水処理プラントの設置やのり面緑化、コンクリートの施工などの対策を重ねてきた。

同社によると、11月上旬からの川の濁りは豪雨災害で土砂が堆積した調整池のしゅんせつ工事が一因とみられ、来春の工事完了を予定する。担当者は、「濁りは全てが当社のせいではないが、できる限り濁水を防ぐ対策をとってきた。アユへの影響も最小限に抑えるようにしたい」としている。

北國新聞 2018年12月7日(木)朝刊より】

 

ニュース自体については今後の行方を見守るとして、地元民的に補足したいことがいくつか。

 

 

 ロックなビオトープ

この大海川ですが、かつては川の中にビオトープがありました。

河川の中に土砂をつっこんで土地をつくり、そこに石を積み木を植えて、小さな池を掘って魚を住まわせていたようです。
入ったことは無いのですが、橋の上から見た覚えがあります。

 

当時は公共事業で整備したのだろうと思っていましたが、パラリーガルとして水害訴訟に触れてからは、考えが変わりました。

行政が河川の中に自ら障害物を設けて流れを妨げるなんて、訴訟リスク以外の何物でもないので、ありえない話です。

 

 

となると民間団体か地元住民が整備した線が考えられますが、これらもハードルがかなり高いです。河川法第26条により、河川の土地の中に物を設置するには許可が必要ですが、この許可はどうしても河川内に設置しないといけない物(橋梁など)しか原則許可されず、こういうものがあったら素敵!程度の物は、門前払いのはず。

 

(工作物の新築等の許可)
第二六条 河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。河川の河口附近の海面において河川の流水を貯留し、又は停滞させるための工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者も、同様とする。

 

 

ずっと気になっていたのですが、個人の方がつくったことが判明。「大海川 ビオトープ」と検索したら、最近になってオーナーのコメントがヒットするようになりました。

「大海川せせらぎ公園」という名前で、行政に許可どころか確認すらとらずに作ったようです。ロックだ……

 

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行政指導を受け、設備は撤去されたようですが、底地?は現在も残っているようです。

 

 

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ビオトープへ降りるための斜路かと思われます。藪に覆われていますが、かつては舗装してあったのかも。かなり丈夫です。

 

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 ビオトープを形作っていた石材の残骸と思われます。

 

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手すりと思われる木杭も残っていました。

 

場所は箕打集会所近くの右岸側です。

 

濁水の原因といえば……


川が濁っていると聞いて真っ先に思い出したのは、川沿いの採石場でした。

手取川流域にもたくさんの採石場があるのですが、こちらでは雪解け時期なんかに時々濁水を発生させて、釣り人から苦情があるという話を聞いたことがあり、大海川でも同じことが起こっているのかと思いましたが……

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f:id:midnightcats:20171209182612j:plain見に行ってみたところ、既に操業停止しているようで、野山に還りつつありました。北陸新幹線の工事も終わり、需要がなくなったのでしょうか?

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こういう謎の横穴、気になりますよね……


もっと山奥、宝達志水町側にも1か所あるらしいのですが、そちらはもっと昔に操業停止したらしく、グーグルマップの衛星写真を見てもわかりません。

 

あんまり濁ってなかったけど……

僕が見に行った時はそんなに濁ってはいませんでしたが、雨が降った時や雪解け時期にはまた真っ白になるかもしれません。

記事では鮎が激減する恐れと報じられていますが、自分としては大海川から取水して田んぼをやっている農家の方が気がかりです。

コメの生育に悪いだけではなく、下手したら用水路や田んぼといった設備そのものが土砂に埋まってしまうおそれがあります。

 

川が濁る現象自体は、メガソーラー開発をやっていなくとも定期的に発生することなので、施工業者の言う通り「工事のせいだけではない」です。ただ、こういったトラブルが発生するリスクも含めて開発地を決めていることだと思いますので、しっかりした対応をとってほしいと思います。

過疎地なので定量的な被害自体は小さいのかもしれませんが、だからといって無下にされるのはどうしても反感を覚えてしまいますね。