長狭物

社畜による情けない日々

酒類の地理的表示(GI)というもの

先日、いきなり職場に国税庁の方が来られました。

 

内部通報か?と身構えたのですが、用件を聞いてみると、徴税ではなく「酒のGIの普及啓発に協力してほしい」との依頼でした。

 

GI(地理的表示)とは

ざっくりいうと、国が「これは価値が高い」と認めたものを、質が悪化したり担い手がいなくなったりして消滅しないように、保護していく取り組みです。

地域には長年培われた伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性が、品質などの特性に結びついている産品が多く存在しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」です。
 農林水産省は、地理的表示保護制度の導入を通じて、それらの生産業者の利益の保護を図ると同時に、農林水産業や関連産業の発展、需要者の利益を図るよう取組を進めてまいります。

地理的表示保護制度(GI):農林水産省

 

お土産品の中には、「地名+商品名」という名称の、あたかもその地に古くから根付いているようで実際は何の縁もゆかりもない収益商品が多々あります。

そういった似非特産品と本物の価値ある特産品を区別することも、目的の一つでしょう。

 

 

 

酒類のGI?

国税局の方の話を聞いていると、農林水産省系列のGIとは全くの別系統で酒類のGIという制度があり、国税庁が管理しているとのこと。

 

酒類の地理的表示制度とは、地域の共有財産である「産地名」の適切な使用を促進する制度です。
お酒にその産地ならではの特性が確立されており、産地からの申立てに基づき、国税庁長官の指定を受けることで産地名を独占的に名乗ることができます。
産地にとっては、地域ブランド確立による「他の製品との差別化」、消費者にとっては、一定の品質が確保されていることによる「信頼性の向上」という効果があります。

酒類の表示|酒税行政関係情報(お酒に関する情報)|国税庁

 

制度自体は平成27年からあるようですが、このタイミングで改めて普及啓発を図るということは、やはり東京オリンピックを控えての取り組みでしょうか?

日本酒のさらなるブランド化を進めるとともに、業界の健全化を図りたいのかなと思いました。

この間、「獺祭を高く買わないで」という新聞記事もありましたし、お酒の流通業界は闇が深いのかもしれません。

headlines.yahoo.co.jp

 

小売店は何ができるのか?

本題に戻ります。

国税局の方から「何でもいいから酒類GIの普及啓発に協力してほしい」と依頼されましたが、小売店側でできることといえば、

  • 怪しいものは販売しないこと
  • GI認定された商品を積極的に販売すること

この2つに限られるのではないかと回答しました。

 

農林水産省のGIもですが、最終消費者相手に「GI認定ですよ!」と打ち出しても、全く反響が無いんですよね……

もしGI認定商品を販売しているだけで店舗に箔がつくとか、そういったメリットがあるなら、もっと大々的に動けるんですが……現状ではありえない与太話です。

 

「この酒は酒類GIに認定されています!!」というPOPを現在作成中とのことで、出来上がり次第提供してもらえるとのこと。まずは普及啓発などと構えずに、お客さんとの会話のきっかけになればいいかなと思っています。